杜のまなざし(47)

~冬至の候の集い~

 冬至も間近の去る17,18日、今年最後のいのちの学校が、旧甲州街道沿いの藤野、日連れ山系の山懐で行われた。

今年三月より始まったいのちの学校、コロナ禍の中、中止に追い込まれたり、参加者集めに苦心惨憺と、練成会も含めると、よくも6回の集いを重ねることが出来た。そこには、共感をもって智慧を集め、実現に向け工夫を凝らした若者たちの努力がある。そして、その若者たちに呼びかけた発起人の若者の存在がある。

 一人では何もできない。だけれども一人から始まる。

正に、それを証明したこの一年であった。

また、『感動』とは、共感して動くことである。若者たちが一人ひとり、共感の木霊の中で動き出し、いのちの学校は言挙げされ、この一年紡がれた。

 ここに、その発起人の若者からの文章を載せさせて頂く。  樹遷記

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今回の藤野でもお忙しい中お越しいただきましてありがとうございます。樹遷さんとこうして、お近くで学ばせていただける機会、そしていのちの学校を、未熟な私たちですが、若者中心に樹伯さん、樹恩さん、事務局スタッフの方など様々なサポートのある中、創らせていただく機会を与えていただいていること、深く感謝いたします。

樹遷さんのいつも伝えてくださる、いのちへの眼差し、向き合い方、そして生き方そのものを本当に時間が許す限り、学ばせていただきたいと強く思っております。そして、まだ出会わぬ方も、必要としている方々は多くいるので、一つずつ、縁を広げていきたいと感じております。

二年前に、北陸の養生塾の会で初めてお会いして、この1年は3月のいのちの学校愛知、北陸、広島、そして藤野の計4回そして、樹遷さんのご厚意で実現した錬成会(愛知、北陸)も含めますと計6回も関わらせていただき、本当に感謝してもしきれません。

 今回の藤野では「謙虚さ」と「共感」ということにつきまして深く印象に残りました。

 謙虚さは、樹遷さんが初季と私との2人に前夜に和室でお話ししてくださったことです。人は弱いので、誰しもが認めてほしいが故に、してあげたい、力になりたい、が前面に出てしまうと思います。誰かのためにとの思いは素敵ですが、それが自分の押しつけになっていないか。なおさら歳を重ねて、褒められたり、感謝されたり、ある意味プライドが出てきて、どんどん自分で気をつけないと一方的になってしまうと思います。特に医師として進んでいくとなおさら気をつけないとそう思ってしまうように思います。1人では誰しも生きられません。生きていること、全てお陰様で、積み重ね、磨きながらも、謙虚さを忘れずにいることは、今後の私にとっても戒めの有難いお話でした。

 共感につきましては、ホームレスの月経痛に苦しむ少女のお話がとても印象的でした。今の医療では、「痛い」ということに関して、原因を探すため検査をし、薬を処方し、という流れです。もちろんそのことによって助かる人もいますが、本当に彼女が求めていたのは、それではなかったということ。「痛いね」というその一言の共感だったということ。誰にもわかってもらえないと思っていた、死にたいとまでも思っていた彼女の痛みに対して、共感し合える樹遷さんとの出逢いによって彼女の奥深くの扉が開き、真に癒された時、彼女はたくさんたくさん泣いて、そしてなんと痛みがなくなっていたということ。

 言葉だけでは全てを表せられず歯痒さも感じますが、「いのちといのちの 奥深い 交流」 そして 「どのいのちも持つ 癒しあい 引き出される 生命力」それがあるということ。出逢いの中で、生きたい、生きていてよかった、と1人でも思う人がいたら、もう与えられたいのちとしてこんなにも嬉しいことはないのではないかと感じます。生身の感性を日々積み重ね、磨いていけば誰しもがこうして癒しあえると思うと、私も一歩一歩積み重ねていこうと思います。

人生は様々な選択の連続で来年1年どうするかもまた、私にとって一つの分岐点となるような選択です。人によっては、医師という道である意味影響力を良い方向に用いることで多くの人を救える存在になれるよという方もいて、その考え自体も確かにそうだとも感じます。私は医師になりたくない、というわけではありません。尊いお仕事だと感じます。私は樹遷さんと出逢って、「いのちとして癒し合う」というのが人生のテーマとなりました。しかし、すぐに研修医に進まないといけないのかというと、今はそう思えていません。もちろん研修医になることで、見えなかった様々なことも見えると思うので、いずれにしても樹遷さんがお話ししてくださったように、奢らず、謙虚さを忘れず、本質を磨いて進んでいきたいと思います。  優稀乃記

樹遷の養生塾

「樹遷の養生塾(じゅせんのようせいじゅく)」 積極的にいのちを養う知恵と生き方、日頃からの生き方の知恵と実践の体系をお伝えしています。

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